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こんにちは。芝公園整骨治療院の藤本です。
4月19日ブログまでの3回に渡った「健康長寿の鍵は、腎と骨だ」というお話の続きとして、
今回は、中医学的な腎の養生について、それを教えてくれる書籍を紹介いたします。
それが、『老けない体をつくる中国医学入門』(阪口珠未著/幻冬舎新書)です。
サブタイトルにもある様に中国医学の中でも「腎」に焦点を当てています。
4月6日のブログで紹介した『腎臓が寿命を決める』(黒尾誠著/幻冬舎新書)とも何となく共通したタイトルですね。
『腎臓が寿命を決める』では、現代医学的な観点から、
リンの含有量や吸収率に基づいて、食事によるリンの摂取量を抑える工夫などが紹介されていましたが、
本書では、東洋医学的な食養生、薬膳的なアドバイスが、漢方などの知識と共に豊富に紹介されています。
例えば、腎を補うものの一つとしては、クルミなどのナッツ類が良いようです。
中医学では、ナッツ類のクルミは、脳の形に似ているから脳に良い、と言われていますが、
現代的な研究でも、実際にクルミの成分が脳に良いことが解ってきた、といったことなどが書かれています。
(ちなみに、中医学では、脳は髄海と呼ばれ、腎と関係が深い)
また、中医学の五行論(五行説)という考えでは、腎は水の性質があり、色は黒に応じています。
その為、黒い色をした黒ゴマや、水の中に生息する海藻類も、腎を補うのに良い食材だとされています。
(その他では、例えば、心は火の性質で赤に、肝は木の性質で青と対応、などとなっており、この理屈で言うと、「バランスの良い食事」とは、「色とりどりの食事」、と言えるかもしれませんね。)
この様な、日常生活に簡単に取り入れられる食養生の知識が、漢方や中医学の基礎知識と共に解りやすく紹介されていますので、ご興味のある方は是非ご参考にして頂き、生活の中に取り入れてみて下さい。
ちなみに、本書では針灸についてはあまり書かれていませんが、
針灸のツボにも、腎を補うツボや、腎の経絡の流れを良くするツボといったものがあります。
腎が関わる、泌尿器系の症状や、生理などの婦人科症状、
或いは、腎と他の臓器とのバランスの乱れによって生じる症状、例えば、腎と心(水と火)のアンバランスによって生じる、のぼせや頭痛、不眠などといった、現代的に言えば自律神経症状なども、本来、針灸治療の対象です。
針治療にはこの様な内臓の不調にも効果がありますので、肩や腰の症状以外でも、気になるお身体の不調がありましたら是非ご相談ください。
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こんにちは。芝公園整骨治療院の藤本です。
前回、前々回と、書籍の紹介として、
「老化や寿命のカギは、腎臓と骨(リン)」だというお話を紹介しました。
実は、中国の伝統医学では、昔から、「老化や寿命のカギ」は「腎臓」にあるとされています。
針灸や漢方の中国伝統医学(以下、中医学とします)で言われる「臓・腑」は、現代医学で扱われる「臓・腑」と名称は同じでも、その捉えられ方には違いがあります。
中医学では、心、肺、肝といった「臓」と、胃、小腸、大腸といった「腑」とが各々ペアを組んでセットとして扱われます。
腎は膀胱とペアを組みますので、現代医学同様、中医学でも腎の働きには泌尿器の作用が含まれます。
これ以外に、中医学では、腎は先天の気を蓄えている所とされています。
先天の気というのは、父母から頂いた生まれながらの生命エネルギーのことです。
(ちなみに、生れ出た後、食事や呼吸によって得られるエネルギーのことを後天の気と言います。)
人はこの先天の気を消耗しながら成長し、老化し、先天の気が尽きた時に最期を迎えます。
ですので、中医学で言われる腎の働きには、泌尿器の作用以外に、生殖や成長・老化の作用も含まれています。
また、中医学では、各臓器は体を構成する要素と密接に関わっていると考えていますが、
腎は骨と関係が深いとされています。
(それ以外では、例えば、肺は皮膚や体毛と関係が深く、心は脈管と、肝は筋と関係が深い)
つまり、中医学では、昔から、腎は老化や寿命に関係の深い臓として捉えられ、
腎と骨は密接な関係にあると考えらえていたのです。
いかがですか? 中医学のカラダの観方は、前回までのコラムで紹介した、「老化や寿命のカギは腎と骨(リン)だ」という最新の現代医学的な観点を見事に先取りしている様にも思えます。
だからと言って、闇雲に、東洋医学(中医学)が西洋医学より優れているとか、伝統医学が現代医学より進んでいるなどと言うつもりま全くありません。
各々、長所・短所がありますので、各々のカラダに対する観方、考え方を互いに参考にし合いながら、上手に使い分けるのが良いのではないでしょうか?
ところで、前回のお話では、健康長寿の鍵の一つは、
リンの摂取を抑えることと、骨を強くしてリンを骨に閉じ込めることで、腎臓機能の負担を減らすことでした。
では中医学的にはどのように腎を養生すれば良いのでしょうか?
それについては次回に取り上げてみたいと思います。
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こんにちは。芝公園整骨治療院の藤本です。
前回、『腎臓が寿命を決める』(黒尾誠著/幻冬舎新書)という書籍を紹介しました。
老化を促進し、寿命を縮める要因(の一つ)は、
血中のリンという成分が過剰になることと、
過剰なリンを排泄する負担によって腎機能が低下することである、
という内容でした。
とすると、老化を遅らせ、寿命を延ばす為には、リンの摂取を抑えたいところです。
ところが、このリンという成分、肉、魚、野菜、穀物、乳製品と、あらゆる食品に入っている様です。
しかも、その含有量が多いとされる食品は、タンパク質が豊富であったり、カルシウムが豊富であったりと、他の栄養素を摂る上でも必要なものばかりなのです。
リンの含有量(過剰摂取)を気にしていると必要なものまで何も食べられなくなりそうですね。
本書では、食品のリンの含有量だけでなく、その吸収率という点からの食事のアドバイスが書かれています。
例えば、大豆などは、リンの含有量は多いのですが、その吸収率は低い形のものだそうです。
ですから、タンパク質等の摂取源として、肉や牛乳の摂取割合を少し減らし、
その分、大豆製品の摂取割合を増やすなどの工夫も有効のようです。
間違いなく摂取を控えた方が良さそうなのは、スナック菓子や食品添加物、ファストフード類です。
リンの含有量が多い上に、その吸収率も高い形のものなので、リンを摂取し過ぎることになるようです。
食事以外に、私たちが注意出来ることは運動です。
前回、リンはその約80%が骨の主成分となっていることを紹介しました。
骨は、体の重みや運動の刺激によって適度なストレスがかかることで強くなります。
こうした刺激が無いと、骨は「そんなに強く無くても大丈夫だな」となって弱くなります。
その時、骨の中のリンやカルシウムは血中に溶け出していっています。
そうすると、血中のリンを排出する為に腎機能に負担が掛かります。
本書では、体を動かす(運動する)ということは、
骨に刺激を与えて、『リンを骨に閉じ込めること』につながり、
結果、血中のリンを濾過排出するという腎機能への負担を減らせる、としています。
このブログでも運動が大事ということを度々書いて来ましたので、
『え~、また運動!?』と思った方もいらっしゃるかも知れませんが、やはり運動は大事なのですね。
私たちの施術では、硬くなった筋肉や関節を緩めたり、痛みを軽減・緩和することはできますが、
体にストレスを与えて強く(丈夫に)する、というのは、ご自身で運動を行って頂くしかありませんね。
久々に書籍の紹介をしましたが、大変読みやすく分かりやすい本です。
老化を遅らせ、寿命を延ばしたい、と思う方、より詳しい内容を知りたい方は、
是非ご一読してみてください。
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こんにちは。芝公園整骨治療院の藤本です。
健康長寿を願わない人はいないと思いますが、
老化の程度や寿命は一体何によって左右されるのでしょうか?
これまでにも、老化や寿命を決めるメカニズムについては、テロメアや、活性酸素による酸化、糖分による糖化、慢性炎症など、様々な説が論じられています。
これ以外にも、動物の平均寿命は体の大きさに比例する、という説もあります。
但、これに関しては、概ねその傾向はあるものの、
ウサギ(寿命約10年)や羊(約20年)よりも体の小さいコウモリの方が寿命が長かったり(約30年)、
ゾウ(約70年)よりも体の小さい人間の方が寿命が長いなど、きれいな相関関係にはならないようです。
ところが、リンという物質の血中濃度で比較すると、
各動物の寿命とリンの血中濃度とがきれいな相関関係を描くそうです。
この観点から老化や寿命のメカニズムを論じたのが、『腎臓が寿命を決める』(黒尾誠著/幻冬舎新書)という書籍です。
読みやすく、分かりやすく、なかなか面白い本でした。
この本の概要は次の通りです。
先ず、先ほどから出ているリンというのは、その約80%がリン酸カルシウムとして骨の主成分となっており、その他、DNAや細胞膜の主成分にもなっている、体には無くてはならない成分です。
ところが、多すぎると、体内で「細胞毒」や「病原体」の様に働き、腎機能が低下したり、血管や細胞にダメージを与えて老化スピードを上げるそうです。
その過剰なリンの排出を担っているのが腎臓です。
腎臓は、尿を作る過程で、血液を濾過して不要なものを排出する一方で、
必要なものは血液中に再吸収し、体内成分のバランスを一定に保つ、という働きがあります。
また、腎臓は、他の臓器との関係性において、パソコンで言えばOSの様な働きをしている重要な臓器だそうです。
死因のひとつとして多臓器不全という言葉を聞いたことがあると思いますが、この多臓器不全も実は腎臓の機能不全が起点になるそうです。
この腎臓の機能は、60代、70代になると、20代の頃の約半分にまで低下するそうです。
一度低下した機能は回復や再生はしないそうですが、大切な臓器だけに、もともとその機能にはかなりの余裕をもっているそうです。
ところが血中のリンが過剰で、腎臓でせっせと濾過排泄しなくてはならない状況になると、
その負担によって腎臓機能の低下に拍車がかかり、
老化を進めたり、寿命を縮めることになる、というのです。
『腎臓なんて普段あまり意識してこなかったし、リンもよく分からない。
健康長寿を延ばす為には、一体、何をどう気を付けたら良いの?』
そう思った方もいらっしゃると思います。
その点についても本書では述べられていますので、次回その要点をご紹介しましょう。
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