吐くときは鶴 吸うときは亀
こんにちは。芝公園整骨治療院の藤本です。
太極拳や気功法など、中国には古くから様々な健康法、養生法が伝わっていますが、
中国の古い養生法や鍛錬法の中では、いわゆる呼吸法のことを「吐納」と呼んでいます。
「吐納」とは、「吐古納新(とこ、のうしん)」、つまり、「古きを吐き出して、新しきを納める」という意味です。
この「吐納(呼吸法)」にも様々な種類や方法がありますが、
呼吸法の要領を表す言葉に「吐鶴納亀(とかく、のうき)」という言葉があります。
「吐くときは鶴(の様に)、納める(吸う)ときは亀(の様に)」という意味です。
これは主にいわゆる腹式呼吸の要領について言ったものですが、どういうことかと言いますと……;
腹式呼吸で吐く時というのは、腹部を凹ますことによって横隔膜が上がり、それによって胸郭が狭まることで肺の空気が吐き出されます。
その際、お腹は、少し窮屈になったズボンやスカートを穿くとき時の様に、腹部を四方八方から凹まします。
それに伴って頭頂部と尾骨とが引っ張り合う様に、脊柱が縦に引き伸ばされ、上体が伸ばされる様になります。
その様をちょうど鶴が伸びをしている様子に例えたのが「吐鶴」という言葉です。
一方、腹式呼吸で吸う(納める)時というのは、横隔膜が下がることで胸郭が広がると同時に、横隔膜によって押し下げられた腹腔が四方八方に広がります。
その際、尾骨を納めて肛門を引き締め、目線はやや臍を見るようにし、脊柱をゆるめて背中や腰部まで十分に膨らむようにします。
少し丸まるようになる(ほんの少しです。猫背はいけません)その様を、甲羅を背負った亀に例えたのが「納亀」という言葉です。
「吐」、「納」という言葉は、「呼」、「吸」という言葉に比べて、単に鼻や口を通じて肺に空気を出し入れするというよりは、もう少し身体の深いところから、そして深いところへの気の出し入れをイメージさせてくれる気がします。
鶴や亀の姿で例えながら身体全体でしっかりと深い呼吸を行うことを表現しているのでしょう。
中国の呼吸法には多くの方法や種類があり、行い方も様々です。
紹介した様な腹式呼吸もあれば、武術などでは逆腹式呼吸も重視されよく行われます。
鼻から吸って口から吐く方法もあれば、吐くのも吸うのも口を閉じて鼻から、という方法もあり、
目的や呼吸法を練習する人の身体の状況に応じて使い分けたりもします。
吐く時に五臓六腑に対応した特定の発声を行いながら吐いて臓器を刺激する、などといった方法もあります。
中国の養生法以外にも、ヨガの呼吸法や、禅の呼吸法など、呼吸法には様々な方法があります。
現代人は呼吸が浅くなりがちだと言われており、様々な不調の原因にもなります。
ご自分の目的や状況に合った呼吸法を見つけて、出来ればはじめは一度きちんと学んでみると良いと思います。
当院スタッフ・西村による呼吸に関するブログ(8月27日、9月14日ブログ)もお役に立つと思いますので非参考にしてみてください!!
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